あの顔は・・・と泣く
「第15回 地域伝統芸能まつり」に行く。
NHKホールで2日間にわたって開催され、僕が見たのは初日。
・北海道/江差(えさし)町 餅つき囃子
・大分県/豊後大野市 御嶽(おんだけ)神楽
・広島県/福山市 蔵王のはねおどり
・新潟県/糸魚川市 根知山寺の延年(えんねん)
・愛知県/豊明市 大脇の梯子獅子(はしごじし)
今年のテーマは、「咲う」だった。「わらう」と読む。春の季語に「山咲う」というのがあるそうだ。冬のこわばった空気がとけるような、待ちに待った様子。
日本の地域伝統芸能でわかったこと。
その1
西洋のポイントが肩と胸に対し、我が舞踏は腰と膝なんだ。地を這うようなトンマさが他人事じゃない。
その2
太鼓の音は地霊の立ち上り、鉦は天への祈りだろうか。八百万(やおよろず)の神々がそこここで聞いている。
伝承するなり手は、年々減って高齢者は本職を持つ。都会へ出ない希少な若手が紹介されると、おもわず会場から拍手が湧く。
おまけの狂言は「鬼瓦(おにがわら)」。前にも見た人間国宝の山本東次郎さん出演。
都に出た大名と太郎冠者。用事が終わって国元へ帰ることになった。名残にお寺に参詣すると、屋根に鬼瓦を見つけた。
目はらんらん、頬はいかり、口は耳まで裂けている。見て泣き出す。とめどなく泣く。恐いんじゃない。
国元に残したかみさんに瓜二つ。
「あぁ、懐かしい」と落涙が、「もうすぐ会える」と笑いに変じて幕。笑い留(どめ)という狂言独特の演目だった。