わが友は、天国で
3年しゃべらなくても、10年会わなくても、友だちは友だちだ。
池内紀さんの「本は友だち」みずず書房刊を読んで、本も友だちになるんだと思った。
著者に永遠に会わなくても、本が友だち。
世田谷文学館で池内紀さんの話を聞いたことがある。想像どおりの人だった。
「人の話を聞きながら眠るほど、気持ちのいいことはありません。存分に眠ってください」と、トーマス・マンの話を始めた。
マンは、一冊も読んだことが無い。今回紹介している50冊も未経験。第一、池内紀さんのものも数冊しか読んだことがない。
それでも親しみを感じるのは、講演冒頭言のような生き方をしているからか。
言うことと書くことが一致している人というのは、意外と少ないからね。
・この本はもともと、みすず編集部の辻井忠男さんと計画したものだった。三十年あまり一緒に仕事をしてきた。
・そして昨夏の終わり、ひっそりとこの世からいなくなった。
一緒に作ったあの本この本。なかでも「池内紀の仕事場」全8巻を読んでみようか。