お父さん、娘は大丈夫

昨日のことも忘れるから、どれほど前に受講したか忘れた横浜市でやっていた「音訳講座」。

視覚障害者に、読んで聞かせる活動が音訳。

小説の朗読とは違う。

新聞・雑誌から始まって電気製品のマニュアルや確定申告のやり方まで、なんでも読む。生活に必要なこと一切だから、朗読のように思い入れたっぷりに読んでいたら、聞くほうが疲れる。

道理だ。

講座には、支援するマインドがあるから参加する人が多い。

ところが、音や声の出し方や話芸に興味がある人もいる。

隣席の彼女も僕と同じ理由だった。アニメの声優になりたいのだと言う。

ということで、所蔵している落語のCDを貸した。落語初心者には聞きやすいと思って、古今亭志ん朝50枚を無期限貸与。どうぞ、どうぞ。

忘れていたら返却の連絡が来たので、最寄り駅で待ち合わせする。

お礼にと、チョコのお菓子をくれたのには驚いた。しかも謝意の一筆箋付きだよ。あまりされたことないので、恐縮する。

立ち話を続けた。

お父さんは広告業界の人。同業者なんだ。それが3年前に亡くなったのだという。25歳くらいから、母子2人で暮らす。

立ち入ったことに踏み入れた。でも、なんとなく彼女の父親になったようだ。

・あんた、あの娘のなんなのさ?

はい、港のヨーコヨコハマヨコスカです。