お江戸超低山さんぽ 中村みつを

花見花見の真っ盛り。

どこもラッシュだろう。渋谷ハチ公前は356日ラッシュだが、ここにも1本桜が満開だった。

徳川吉宗が花見の場として整備した北区の飛鳥山。上野の山は菩提寺寛永寺の地所だったから、当時の名所としては飛鳥山がポピュラーだったのか。

「お江戸超低山さんぽ」書肆(しょし)侃侃房(かんかんぼう)刊。

超低山がミソ。限界に挑むのはいやだ。ヘラヘラがいい。

11の超低山が紹介されている。

港区の愛宕山もあった。ここはスロープ参道もあるけど、基本は地獄の階段から登る。愛宕神社に向かって一直線に仰ぎ見る勾配がある。

圧迫感はあるが、標高26mとあった。最高は、新宿区にある44mの箱根山。こちら、どうってことない。

わかったよ。

標高というのは、土台になる地形にちょっとでも土が積もっていればいいんだ。箱根山自体は、30歩で山頂に立てる。

上野の山は、正式には摺鉢山という。

太古の前方後円墳のなごりらしい。たしかに不忍池畔からは長い石段がある。でも摺鉢山自身は20歩も行かないでピークだ。

関東台地は、北西からヤツデの葉っぱのように山並みが広がる。坂が多い道理だ。

局地的にクローズアップして、「腫れ」のようなものがあれば、そこを山と見立てて行楽したのだろう。

だいたい、足元からして違う。

スニーカーが無い。雪駄チャラチャラでないと、遊べない。