グリーンセラピー読本 大野由起子

ランドスケープ・プランナーという仕事。

内装屋が空間プロデューサーと名刺に刷り、ブランド・アーキテクチャーにいたっては実態不明。

業務と業務の際、業際を繋ぐ仕事に目を付けたのだろう。新しい感覚で仕上げるのでワンストップでお任せください、ということか。

固定された業務は、別名お役所仕事ともいう。サプライサイド視点。対してサービスを受ける側は、「そういうノリじゃなくて」とか「あと、これとかも」を要求したくなる。

ランドスケープ・プランナーは、平たくいえば公園の設計者のことと思っていた。

「グリーンセラピー読本」技報堂出版刊の著者、大野由起子さんはランドスケープ・プランナーながら、セラピーの本だというから読んだ。

最近、立て続けに2つの自然公園を散歩した。彼女は5感に整理していた。

・視覚  樹形 新緑 紅葉 花の色 桜吹雪
・聴覚  葉擦れ 鳥声 せせらぎの音 滝の音
・味覚  おいしい空気 湧き水 実 きのこ
・触覚  風 木肌 土 石 水 葉 木漏れ日 
・嗅覚  草いきれ 花の香り フィトンチッド

行き届いた分析だ。グリーンを見て怒り出す人はいない、とは至言だ。

フィトンチッドも出ていた。

森林を歩いて清々しくなるのは、直射日光を遮るからだと思っていた。

木の香りがあるからなんだよ。揮発性芳香物質という成分。数百種類ある。

お茶に含まれるカテキンは、フィトンチッドの一種。抗菌・消臭効果がある。ショウガ・桜の葉・かしわの葉にもある。かしわ餅を包む葉っぱも、抗菌のため。

加えて防虫効果もある。ヒノキ・クスノキ・ヒバは家具に使いそうだ。

木は根が生えて動けない。

微生物など外敵から身を守るために、根から葉からフィトンチッドを放出するのだ。結果、昆虫や動物に葉や幹を食べられない作用になる。

人間には、自律神経が安定するリフレッシュ効果がある。肝機能改善、快適睡眠にもなる。

長野県は森だ。森林セラピー基地・セラピーロードが全国一だ。長寿県なのだろう。