雪舟 木村茂光

とある山寺。

和尚さんに叱られ、罰として本堂の廊下の柱に縛られる子僧。ションボリ悲しくなって泣く。落ちた涙に、足指が動く。

夕方、「少しは反省しているか」と和尚さんが廊下に出ると、子僧の足元にネズミが一匹。「ややっ」と慌てて駆け寄る。

涙で描かれたネズミ伝説。一休さんだっけ、良寛だっけ? 雪舟だった。

そもそも和尚さんに叱られた理由が、お経も読まずに絵ばかり描いていたから。お寺は、岡山県・宝福寺。

雪舟ミネルヴァ書房刊。監修は木村茂光さん。広瀬克也さんの絵もいい。

鎌倉時代の次、室町時代というのは二重構造になっている。

足利氏が将軍でありながら、前期は南北朝時代に重なり、後期は戦国時代が始まる。中期には、応仁の乱もあった。

岡山から京都・相国寺に移って水墨画の勉強をした雪舟

そこに山口県に呼ばれて引っ越す。周防(すおう)国の大内政弘は、中国・朝鮮と貿易をして富を築くカルチャー好き守護大名だった。

48歳の時、明へ渡る船に乗って2年間留学。帰国した時は応仁の乱だったが、主戦場は京都で山口ではない。

禅宗、おとぎ草子、婆娑羅大名、東山文化の室町時代茶の湯、生け花、枯山水、書院造りの東山文化に、雪舟水墨画もあったのだ。

ちなみに、一休さんは同時代人。良寛さんは江戸時代後期の人。皆、禅僧。