元気で大きいアメリカの赤ちゃん ジュディ・バドニッツ
国際文化会館で「文学にまつわる難問」というレクチャーがあったが、見逃した。
同志社女子大ジュリエット・カーペンターさんの講演。
安部公房「密会」、俵万智「サラダ記念日」、司馬遼太郎「坂の上の雲」、水村美苗「本格小説」「日本語が亡びる時」を翻訳した。
どんな洞察があったから、難問を見つけたのか?
そこに「日本翻訳大賞」の第1回授賞式のニュースがあった。
出版社・翻訳者・学会が選ぶのではなく、読者が選ぶ賞。翻訳だけでは食べていけない境遇を考えれば、翻訳者にはどれだけ心強いことだろう。
クラウドファンディングで338万円を集め、これで4年分の選考ができるようになった。
選考委員には、人気の翻訳者が並んだ。
「元気で大きいアメリカの赤ちゃん」文芸春秋刊。岸本佐知子さんは、異世界ヘンテコな文学を翻訳すると評判だ。
ジュディ・バドニッツ初読。シビアが現実から一転する浮遊感。
・ヒトがヒトを生む奇妙さ、自分の人生が予想もつかない方向へ向かってしまうのではないかという母親なら誰でもが抱く恐怖
これ、男は一生想像できない。
Nice Big American Baby。Niceは善人とも読める。いい奴だが、同時に頑迷で自分の尺度で世界を良くしようとして、逆の結果を招く大きな赤ちゃん。
アメリカの自画像。
ところが、誰も笑えない。昔はアメリカの専売特許だったが、今じゃ世界中が迷惑な赤ちゃんだらけで。
ここまでくれば、男も理解できる。
Q-TAのコラージュが秀逸だ。