歴史観の転換 網野善彦対談集
網野善彦さんの対談集、第4巻「鎌倉・室町期の日本」岩波書店刊の広告を見た。
読んでいて、チンプンカンプンだったのが第1巻「歴史観の転換」だった。
日本は農耕定住型社会、とさんざん聞いた。読んだ。
ところが網野善彦さんは、異をとなえる。そこが新鮮で、歴史を楽しむなら網野派になろうと思った。
も一つ、対談集を手にした理由。
すでに「網野善彦著作集」が全18巻+別巻である。著作より対談のほうが、とっつきやすいと思ったから。
ところが第1巻は、重ねてカンプンチンプンと言おう。
対談相手も学者なのだ。学者は学説を持つ。学説同士が近似と差異をめぐって話す。
加えて、学者は若壮老のプロセスで研究を深める。つまり、学説に歴史あり。学説史って奴。学者業界にいなければ、知るわけない。
6本の対談は、ことごとく自爆。
最後、大学での網野善彦最終講義は読み通せた。
・人類の青年時代は終わり、死の影を見なくてはならない壮年時代にさしかかっている
歴史家は、将来を見ている。
国民国家だけの歴史、先進国・後進国という分け方、原始・古代・中世・近世・近代・現代という区分に、おさまりの悪さを感じる歴史家。
もちろん、従来からの歴史学に不具合を感じている。
考古学、民俗学、人類学、経済学、農学、文学、建築学と仲良くしようと唱える。商業、流通、金融、情報なしに、原始時代はありえないとも。
歴史の担い手は、成年男子だけじゃないという視点。病人・女・子供・老人・被差別民おしなべて考えないと
・これはもう、絶対わからない世界です
という確信。
対談集第4巻の対談相手を見たら、これまた知らない人ばっか。やっぱ著作集から読み始めようかな?