スキマ植物の世界 塚谷裕一

都立園芸高校で、1年間バラ栽培の講習を受けた。

僕以外は、バラ少なくとも園芸経験者だった。中には自宅の庭ばかりか、公園に出向いて積極的にボランティア活動をする人もいた。

外来種セイヨウタンポポを刈るんです。日本在来種のタンポポを守るために」。

ちょっと可笑しかった。

筋肉ムキムキの相手に力で勝てないので、セコンドが栄養ドリンクを浴びるほどの飲ませる絵が浮かぶ。

外来・在来の話は、動物や魚でよく聞く。そして、日本での論調は、いつも被害者の立場を主張する。

日本から外国に渡り、外国の在来種を脅かす日本外来種もあるだろうに。

「スキマ植物の世界」中公新書刊。

僕は何かにつけてスキマ好きだ。

塚谷裕一さんは植物学の教授で、スキマ好きではなかったろう。ところが、植物を追いかけているうちに、スキマの罠にはまった。

そう思いたい。

植物に足は無い。ところが種子や胞子や地下茎で子孫を拡げる。あるいは、鳥が食べ鳥は飛び、糞が落ち糞の中に種が残る。

かくして、あらゆるスキマに植物は根付く。

で、その歴史。

古代から外来種の種が来た。帰化する。在来種と交雑する。

本では、一つ一つ原産国が書かれている。と、在来の意味がどんどん薄まってくる。

園芸にも流行廃りあり。確かに丹精こめる庭には無いが、風が拡散した種は着陸して、どっこいスキマ人生を送るのだ。