トゥルー・ストーリーズ ポール・オースター

古本屋の店頭、歩道に突き出てワゴンがある。だいたい店舗の両脇にある。

名前をギョーカイでは均一台という。文庫か新書ばかり、1冊100円均一だから。

意外に売れると聞く。それでも売れないとも聞く。

同じ均一台でも、破格看板を見つけた。

・5冊で105円。1冊なら50円。

この時、欲しい1冊を見つけた後の行動はむずかしい。

1冊だけ買うか? 残り4冊をさがすか? 当然、5冊で105円コースを目指し探す。といって妥協して選んだ4冊を読まないことはわかってる。

永劫、読まないとわかっていても探す欲の深さ。

「トゥルー・ストーリーズ」新潮文庫刊が欲しかった。ポール・オースターのノンフィクション。

著者履歴に触れた、「その日暮らし 若き日の失敗の記録」。

たいていの書き手は二重生活をする。仕事をして、早朝か深夜か週末に書く。

・私の問題は、二重生活を送る気がないということだった。

現実的ではない。だって、現実的でありたくなかったから。だから、作家。

・自分が他の何にも向いてないと思ったら、あとは一生、長くて辛い道を歩く覚悟を決めるしかない。

金欠、離婚、パニックに至る。失敗とオースターは書く。とはいえ、

・金儲けのために書くのはもうこれでおしまいだった。わが身を売るのはもうこれでおしまいだった。 1996年

強さが、尋常じゃない。だいたい苦痛から逃れるために、なんとかする。

作家というのは、キャリア選択とは違うのだ。選ぶというより、選ばれるもの。

クリエイターの「クリだっち」から、秀逸な動画が届いた。
http://tabi-labo.com/6049/brazilhomeless35years/

ブラジルのホームレス詩人。たぶん、オースターもUTubeで見ただろう。詩集も読んでるかもしれない。