秀英体生誕100年 大日本印刷

秀英体 平成の大改刻」大日本印刷刊を手にした。

平成の大改刻とは、また随分と大きく出た。まるで、東大寺大修繕とかいう鼻息の荒さ。

もっとも2005年から始まっていたから、確かに大改刻ではある。

もっとも大日本印刷が強調したいのは、この書体が明治からの活版書体である点だろう。

小冊子「秀英体生誕100年」は、ダイジェスト版。由緒正しさをデジタル時代に引き継いでいることを強調する。

オーソドックな書籍は、本文にだいたい秀英体を使う。それを当たり前のように読んで、違和感が無い。眼球は、保守的なんだ。

さて、書体は虫メガネで拡大すると、どのような構図を持っているか?

かなは、筆の運びを再現している。起筆の箇所には「書きはじめるぞ」という意思がある。はねる、おさえる、といった書の運動に忠実だ。

タテヨコのプロポーションも、書にならう。

一方の漢字は、かなよりサイズがひとまわり大きい。

横画の始まりは、ラッパ状になっていて起筆を印象づける。右で終えるときは、三角の山で止める。これは中国原産か、日本化か?

大日本印刷の前身、秀英舎は明治14年に活字の鋳造設備を導入した。自前の活字を作ったのだ。45年に、初号から八号までの秀英体全活字が完成した。実に30年。

なにしろアフファベットと、作る数が違う。

この時の書体は、「秀英初号明朝」だけなのだろうか。現在では細い秀英明朝Lから秀英明朝Bまである。横画が太い書体もある。ゴシック体もファミリーだ。

1万人に1人くらい「趣味は書体」という人がいるか? いるわけない。