S,M,L,XL+ レム・コールハース

レム・コールハースって、聞いたことある。

思い出した。「錯乱のニューヨーク」の著者。実験場のような町を描いて、建築家が欲望の同伴者と知る。

資本家のブラックエネルギーに火をつけるのは、不動産屋じゃなくて建築家なんだ。

「S,M,L,XL+」ちくま学芸文庫刊は、「錯乱」以降の論考をまとめたものなのだろうか。

手当たり次第にメモしてきたことが本になった印象だ。原著は1300ページ。文庫は抄録に、原著以降に書かれた文章「ジャンクスペース」も入っている。

プリッカー賞を受賞したのだから、彼も建築家なんだろう。

でも、文章だけ読むとノンフィクション作家と思える。つまり建築するという前提で建築を意味づけることが無い。

・結局、建築家には空間というものの説明ができなかったわけで、だからジャンクスペースは、建築家がことをうやむやにしたことに対する僕たちからの罰、というわけだ。

赤坂6丁目を歩いた。ちょっと陸の孤島のようで良かったよ。

ランドマークは、赤坂氷川神社だろうか。

江戸時代に、七氷川神社筆頭のポジションだったらしい。月岡芳年筆「『ま』組火消し絵馬」がお堂に架けてあった。

境内に沿う塀の向こうは、アメリカ大使館宿舎。地番は六本木2丁目となる。西に向かえば東京ミッドタウン。つまり、赤坂6丁目は繁華ショッピングゾーンを羨望する位置。

都市開発に取り残されたジャンクぶりは、かえって気が休まる。