新大陸が生んだ食物 高野潤

国連は、けっこう企画好きだ。

過去にも、「○○年は国際××年」てなことをやっていた。2015年は、何だと思います?

国際土壌年。国連総会で決めるんだ。

なぜ土壌? 農業や生態系の基本、そして食糧安全保障の基盤。で、日本では5月から全国で巡回展をやっている。

さらに生物多様性、経済成長、持続可能な農業、貧困撲滅を解決する能力が秘められている。

土に? そうには違いないが、理屈が強引すぎないか?

それより感心したのは、土ができる過程。1cmの土ができるのに100年かかる。スプーン一杯の土に、数億から数十億の微生物がいて、これが動植物を育む。

太陽、雨風、土のコストがゼロ、を前提にしている第1次産業。話を大きくしないと、国連企画はピンとこない。

「新大陸が生んだ食物」中公新書刊。こちらもスケールが大きい。

トウモロコシ、ジャガイモ、トウガラシ。これらが中南米原産地誌から世界に広まった歴史。

15世紀末コロンブスが新大陸に到着し、16世紀インカがスペイン征服者で滅んだ時期。

日本に着たのは、どれも17世紀。そのころは、どんな品種だったのだろうか。

現在見かけるトウモロコシは黄色の大粒種だけ。ところが世界では中粒・小粒種もあり、色も暗紫・橙から白色まである。

ジャガイモ、トウガラシも形と色が豊か。

いかにもワンパターンな品種しか口にしてない。

都道府県別に、アンテナショップってあるでしょ? 世界は約200の国と地域があるんだから、それぞれショップを出せばいい。