文学のレッスン 丸谷才一

イギリス文学と源氏物語

これが丸谷才一さんのイメージ。正統派。

スピーチの名人という評判もあって、読んで来たのはもっぱら軽いもの。

正面から向き合おうと「文学のレッスン」新潮文庫刊を読んだ。

原稿ではなく、湯川豊さんを聞き手に縦横に喋る。まっとうな文学史を知らないから、かえって助かる。

文学 = 小説。ではなくて、文学は形式をまたぐものだった。伝記・自伝、歴史、批評、エッセイ、戯曲、詩。

目の前の現実を自分なりに解釈するのが文学なら、前に書いたレム・コールハース著「S,M,L,XL+」は、とても巨視的な建築文学だ。

・短篇小説  もしも雑誌がなかったら
短篇は、ほとんど雑誌掲載された歴史にちなんだ副題。

・長編小説  どこからきてどこへゆくのか
スケッチとは違う時間の長さに母性父性を読み取る。

・歴史    物語りを読むように歴史を読む
歴史小説のことじゃなくて、事実の読み方の虚構性。

・批評    学問とエッセイの重なるところ
若書きできないのは、めんどうな学問が必須だから。

いちいち出てくる本の名前を覚えられない。2人のやりとりで紹介されたものが、巻末にまとめられていた。助かる。

あとがきを読んだ。

丸谷才一さんは、周到な準備をして対談に臨んでいた。聞き苦しくないのは、そのためか。才気だけで語ったわけじゃない。