ナメクジの言い分 足立則夫

落語の古今亭志ん生師匠の名著「なめくじ艦隊」ちくま文庫刊。

売れっ子になる前、現在の墨田区・本所業平にある長屋で極貧時代を送っていた。

・いるのいないのってスサマジい。それも小さいかわいらしいやつならまだしも、十センチ以上もある茶色がかった大ナメクジが、あっちからもこっちからも押しよせてくる。

読んで以来、志ん生 = なめくじに襲われる構図が微動だにしなくなって、師匠がいるだけで可笑しい「フラ」の原因は確定した。

「ナメクジの言い分」岩波書店刊を読んでいると、忌野清志郎もナメクジの詩を書いた。とても納得できる。

して、正体は?

動物/界 → 軟体動物/門 → 腹足/綱 → 有肺/亜綱 → 柄眼/目。

全然わからん。

軟体動物までは、なんとなく。アサリなどの貝類や、タコやイカも仲間。

腹足は、内臓を足の筋肉で覆うような、例えばアワビやサザエと一緒だと。アワビやサザエの足がわからんが。

有肺とは、水中から陸に上がったのでエラではなく肺で呼吸する。サカマキガイやイソアワモチ、って見たことないが仲間だ。

柄眼は、細長い柄のような触覚の先に眼がある。ここにいたって、初めてナメクジの先頭造形が具体的になる。

仲間には、エスカルゴ、アフリカマイマイ、カタツムリ。何となく食材なのに、ナメクジだけが仲間はずれだ。

足立則夫さんは、自宅でナメクジを飼って観察している。

独特の粘膜には、7つの機能があるのだ。

1 体を滑らかに進める「潤滑油機能」
2 水分85%を外に逃さない「保湿機能」
3 外部の高温を遮断する「断熱機能」
4 体に付いた菌や微生物を流す「洗浄機能」
5 襲ってくる外敵の口を封じる「護身機能」
6 自分や仲間の足跡として「ナビ機能」
7 命綱にして地面に降りる「ロープ機能」

食材で無理なら、加齢女子向け化粧品の原料にならないか。

旧暦7月9日には、岐阜県加子母で「なめくじ祭り」がある。米ワシントン州でも6月末の2日間Slug Festivalがある。

皆んな、けっこう好きじゃん。