白夜 ドストエフスキー

トルコのジェイラン監督は、どれだけ構想してこの映画を撮ろうとしたのか。

「雪の轍(わだち)」は、27日からロードショーだ。

カッパドキアの風景の美しさと濃密な物語。圧倒的な3時間16分。

カッパドキアに惹かれるでしょ? しかも冬。客がいなくなったホテルを舞台に、鬱屈した心がすれちがう。

・チエーホフ×シェイクスピア×シューベルト の会話劇

ところがチラシのどこを見ても、チエーホフとシェイクスピアの原作名が出てない。

「白夜」講談社文芸文庫刊。

25歳に「貧しき人々」でデビューしたドストエフスキーは、2年後中編「白夜」を書いた。

長編へのトレーニングのつもりで読んだ。明治の文豪は、めんどくさい小説を書く。

いわく「内的独白」。心の動く過程を連ねる。ロシアの実験。会話体小説。当時は、これが前衛だったのか。

それがヴィスコンティ監督で1957年に映画化されたという解説を読んで、ゆうに構想50年以上だろうと思った。

「雪の轍」は、100年以上か。