下山事件 森達也
神戸の連続児童殺傷事件の犯人は、現在32歳になっていた。
当時14歳だった。14歳だから衝撃だった。32歳だと、何をやっても凡庸だ。ねむい。
「挽歌」太田出版刊をめぐる、やりとり。
森達也さんの意見。
・被害者が手記を出版されたくないのは当然。
・一方、本を回収すべきだというのには違和感がある。
感情は大事。言論や表現も大切。
・遺族の了承をとるほうがよかった。
でも、そうすべきだったとは思えない。出版の条件にするべきではない。経験や感情がブラックボックス化するから。
かつて、オウム真理教のドキュメンタリー「A」を発表した
森達也さん。
ブラックボックス化させないためには、基本的に自由にさせないといけない。ところが、結果として被害者を加害することになる。
表現とは、加害者になること。
「下山事件」新潮文庫刊。日本が占領下にあった時代のミステリー。
小さな事実を発見するも、謎解きをやっているのではない。
テレビの企画として、雑誌の連載として、自主映画として事件を取り上げようとした。
関わった人々は、それぞれが本を出した。読んではいなが、謎解き本でしょう。
森さんのは、メディア論なのだ。そこが下山事件を今日出版する意味にしている。