河童のお弟子 泉鏡花 柳田國男 芥川龍之介

このタイトルは、伝染する。

まず、「河童のお弟子」。何が「お」なのか? 「弟子」じゃないわけは? 

「柳花叢書」? 花柳界の話か? 色町に出現した河童のこと?

3人の著者が並ぶ。泉鏡花 柳田國男 芥川龍之介。加えて、編に東雅夫とあったので、すべてのみ込めた。

「柳花叢書」とは、柳田國男泉鏡花で柳花。ちくま文庫が2人のアンソロジーを叢書にして発刊する。おばけ好きから一人は民俗学へ、一人は文学へ。

それに芥川龍之介が加われば、おばけ部門の内、河童でくくれる。と編者は企画した。

実は3人は同時代人なのだ。

まず柳田國男が、河童を書いた「山島民譚集」を出す。

それに刺激されてか、芥川龍之介は「河童」を出し、鏡花は「河伯令嬢」を出す。國男は、2人が「河童のお弟子」だといって笑った。

時は昭和2年7月24日未明、龍之介は毒をあおる。

「河童」 → 上高地 → 夏の服毒自殺。

最初、僕は「『河童のお弟子』ねぇ」と、声に出せなくて眼で読んだ。可笑しい。でも、卒然と遂げる龍之介は悲痛だ。

小説好きの友だちに見せたら、僕と同じ表情になった。

伝染する。