それでも頑張れる笠原兄さんは強い

人間ドキュメンタリー的番組は、NHKと民放で大きな違いが一つあります。

料理人があまり出ないか、よく出るか。

と、常々感じてます。

誤解でも理解でもいいですが、民放は基本「女こどもを相手にしてるから」料理全般に熱心。大食い、B級、まいう〜、鉄人、新店、ミシェラン、地元食材、まかない飯、パティスリー。

TBS系「情熱大陸」笠原将弘さんは、それまでとはちょっと違う視点があるドキュメンタリーでした。

個人的事情がからみます。

そもそも、男の貌はいい仕事でつくられる。胸に手をあてて、仕事をおもちゃのように愛することができたら、なお可。

仕事を楽しめず、「流行の服だ、音楽だ、飯だ」にうつつを抜かすのは「女こども」みたいなヤツと踏んでます。

笠原将弘さんは、1972年生まれ。41歳。

子供時代に両親と死別し、現在「賛否両論」なる店の料理長兼経営者。食材の仕入からして、いわゆる高級店とは違います。「高価な食材は、おいしいに決まってます」。

つまり、調理の腕を活かす余地は少ないと、彼は言いたいのです。過去の研鑽に自信がなければ言えないよ。

そして、愛妻をガンで失う。残された、3人の幼子。2日後には厨房に立つ。「父母の分まで働こう」に、妻の分まで働こうとする姿勢。

真似できません。

僕の40歳前後にも、笠原さんのような人はいました。で、幸福な仕事の現状にいつか試練が来ると、「先取り」のつもりでソウルやニューヨークで浪人修業。

この浪人って、所詮フェイクです。

フェイクですが、順調なら「嵐がくるぞ」、つらかったら「そのうちね」と思える過去より将来気質は、偽物経験で育った楽天性だとも思える。

とはいえ、笠原さんのように正味の強さはないねぇ。

シューベルト