乾いた双子の「悪童日記」

フランス語ができる「フラだっち」によれば、LE GRAND CAHIERとは「大きなノート」という意味らしい。

それを「悪童日記」と訳したのは堀茂樹さん。おみごと。早川epi文庫刊。

映画を見た。小説はフランス語なのだが、映画の言葉は何語なのだろう。著者アゴタ・クリストフハンガリー人だから、ハンガリー語なのか。

第2次世界大戦末期、出征する父親が双子兄弟に渡す「起きた事を何でも書く」ための帳面。

母親は非常時に足手まといな子を、田舎の実家に疎開させる。

祖母の暴力、食料不足、飢餓兵士。一つを悟れば、それが自分たちを護る術と訓練を始める兄弟。お互いをムチで打ち合う、何日も絶食する。

ユダヤ人を密告した少女を、盗んだ手榴弾で吹き飛ばす。

サース監督は、社会派ではない。社会の残忍さを告発しない。硬質な風景が、少年の目に飛び込んで来る。2人はひたすら学習しているのだ。

厳しい暗さが、美しい。ソクーロフ監督のように、一場面ごとに考えさせられる映画。

アゴタ・クリストフは戦後フランスに亡命した。一から生活をやりなおす。

低賃金の仕事を見つけ、言葉を覚える。だから、小説も簡単な言葉で書かれてる。しかも、長編じゃない。

と「フラだっち」解説。

「『悪童日記』には、あと2冊の続編があるよ」。離ればなれになった兄弟の、戦後篇。

すべて翻訳されているというから、この際まとめて読もうか。

★目玉ブラボーズ 橋爪彩さん 

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