上方落語CD 桂米朝

テレビばっかり見ている。桂米朝さんのETV特集がよかった。もう、誰もやらなくなったネタを掘り起こした米朝さんの功績。「地獄八景亡者戯」じごくばっけい もうじゃのたわむれ。 地獄は、この世の生き写し。久しぶりにCDで聞く。ついでに、どんどん聞く。出…

禁煙口内 磯の吹き寄せ

4月15日から、禁煙外来に通ってた。それでもグズグズ吸い続け、完全に吸わなくなったのは5月23日から。6月22日で、ちょうど1ヶ月だ。処方された薬は、タバコを吸っても「効果がない」点で効果大。それは、いい。しかし頭痛は副作用なのか。それに…

白夜 ドストエフスキー

トルコのジェイラン監督は、どれだけ構想してこの映画を撮ろうとしたのか。「雪の轍(わだち)」は、27日からロードショーだ。・カッパドキアの風景の美しさと濃密な物語。圧倒的な3時間16分。カッパドキアに惹かれるでしょ? しかも冬。客がいなくなっ…

僕の叔父さん網野善彦 中沢新一

前に網野善彦さんのことを書いた。すると「こんな記事がある」と、日経をくれた校正者の「文字だっち」。網野善彦さんと中沢新一さんは、親戚だった。中沢新一さん5歳の時、叔母さんの結婚した相手が網野善彦さん。駆け出しの歴史学者だった。なんて運命的…

100歳のジャーナリストからきみへ むのたけじ

1915年生まれの、むのたけじ(武野武治)さん。めでたく100歳。彼には「おめでとうございます」と素直に言える。とっても重要なこと。どうでもよくないこと。むのたけじさんは、元朝日新聞記者。1945年8月15日の敗戦で退職。日本の8月の新聞…

ナメクジの言い分 足立則夫

落語の古今亭志ん生師匠の名著「なめくじ艦隊」ちくま文庫刊。売れっ子になる前、現在の墨田区・本所業平にある長屋で極貧時代を送っていた。・いるのいないのってスサマジい。それも小さいかわいらしいやつならまだしも、十センチ以上もある茶色がかった大…

ゴスペル・レッスン ジョン・ルーカス

赤坂教会を知る人は、少ないだろう。そこで、第1・3水曜日にゴスペル・レッスンがあると知ってる人は、もっと少ない。先生は、ジョン・ルーカス。2時間みっちりトレーニングする。生徒は全員女子。向かって「モア・パワフル」を百連発。「ちょっと見学し…

映画書のデザインをめぐって 鈴木一誌 

京橋のフィルムセンターでは、「シネマブックの秘かな愉しみ」展をやっている。秘かな愉しみ、という言い回しが学芸員の映画ブルジョワぶり本領発揮。館蔵している図書は、44000冊。この規模だと、ほとんどが和書ということか。フィルムセンターは国立…

文学のレッスン 丸谷才一

イギリス文学と源氏物語。これが丸谷才一さんのイメージ。正統派。スピーチの名人という評判もあって、読んで来たのはもっぱら軽いもの。正面から向き合おうと「文学のレッスン」新潮文庫刊を読んだ。原稿ではなく、湯川豊さんを聞き手に縦横に喋る。まっと…

新大陸が生んだ食物 高野潤

国連は、けっこう企画好きだ。過去にも、「○○年は国際××年」てなことをやっていた。2015年は、何だと思います?国際土壌年。国連総会で決めるんだ。なぜ土壌? 農業や生態系の基本、そして食糧安全保障の基盤。で、日本では5月から全国で巡回展をやって…

S,M,L,XL+ レム・コールハース

レム・コールハースって、聞いたことある。思い出した。「錯乱のニューヨーク」の著者。実験場のような町を描いて、建築家が欲望の同伴者と知る。資本家のブラックエネルギーに火をつけるのは、不動産屋じゃなくて建築家なんだ。「S,M,L,XL+」ちくま学芸文…

牡丹灯籠 玉三郎

7月の歌舞伎座、夜の部は「怪談 牡丹灯籠」だ。お峰に玉三郎、亭主の伴蔵役に中車。2人に殺される萩原新三郎は九團次が演る。わけあり女・お国は、春猿。医者の山本志丈に、市蔵。三遊亭円朝役もあって、これが猿之助。物語の解説・進行役をやるのだろう。…

不思議の国のアリス 高山宏

学魔・高山宏さんの名前を久々目にした。2回目の「不思議の国のアリス」を訳したという。亜紀書房刊。彼の直近の肩書きも、明治から大妻女子大学教授となっていた。学魔に定年はいらない。終身どこかの大学で教え、講義中にこと切れてほしいと願う。本も連…

カズオ・イシグロ ハヤカワ国際フォーラム

カズオ・イシグロ講演会に当選した。文は体を表すか、見たい。主催は、早川書房。ハヤカワ国際フォーラムは、海外から著者を招いてすでに19回目になるのだ。会場はイイノホール。席の半分は招待客で占める。抽選は激戦だったか?Mrs. Lorna Ishiguroと書か…

おやつこんぶ 有限会社みなみや

外来禁煙の初診が、4月15日というのは覚えている。ということは2ヶ月目の途中ということだ。高校の卒業式当日に始まったタバコは、50年の習慣だ。親の死に目にも揺るがず、「風呂屋の煙突」「野蛮人」の罵倒に馬耳東風だった。当初は、処方された禁煙…

捨てるな、うまいタネ WAVE文庫

神奈川県農業学校で、種まきやトラクター実習をしたことがある。4〜5日の講習をするキャンパス見学会のようなもの。「来年、入校を考えている」人がいた。亭主の実家がみかん農家。手入れしなくても実がなる、と聞いてうらやましかった。久々連絡をとって…

カラシマ 伊プーリア州

辛島からしま、じゃなくてカラシマKalascima。どんな意味なんだろう?イタリア南部プーリア州の6人組。民族音楽をベースにして、いろいろな要素を取り入れているグループのコンサートに行く。バルカン音楽、東欧ユダヤ民謡、もちろんロックもミックス。騒げ…

有終の勝利 シャビ

テニス全仏オープンで、待望の大波乱。とにかく今までの試合、ジョコビッチ勝利でおもしろくなかった。シーズンは、41勝2敗。第1セットは、6−4でジョコビッチ。第2セットで、バブリンカがブレークに追い込むが、なかなか崩せない。最終ゲームをブレー…

秀英体生誕100年 大日本印刷

「秀英体 平成の大改刻」大日本印刷刊を手にした。平成の大改刻とは、また随分と大きく出た。まるで、東大寺大修繕とかいう鼻息の荒さ。もっとも2005年から始まっていたから、確かに大改刻ではある。もっとも大日本印刷が強調したいのは、この書体が明治…

ロンハーマン白衣 綿58%

医者は白衣着てないと説得力無いよね。患者として向き合えば、医者はたいてい年下だ。それがタメグチで問診すると、こっちもちょっとイラっとする。それをなだめるのが白衣。あれ、一着いくらするんだろう? 業務用で大量に使うだろうから、2〜3000円く…

歓喜する円空 梅原猛

年表というのがある。疑いが無いから、その時その場所で起きたことだと思ってる。例えていうなら、新聞のような記録媒体が昔からあって、事例が整然と並んでいるのが年表だと。歴史の本を読んでいて、年表は書き換えられることが段々わかってきた。円空も戦…

下山事件 森達也

乳幼児は、どのくらいの頻度で病気になるのか? 「孫部」活動を始めて、ほぼ半年経った。冬にノロウィルスに感染した記憶がある。立ったまま道路で嘔吐し、苦しさに泣き出した。どうしてよいかわからず、あわてた。あれから半年、今度は風邪だ。一人前に咳を…

人と「機械」をつなぐデザイン 佐倉統

「笑わないと開かない冷蔵庫」ってのは、どこかで売ってるのだろうか。発想したのは歴本純一さん。コンピュータ人間学ってのを考えている。便利を追いかけ機械を作った人間。効率や省略を達成し、これで我がモノグサ解題が解決したと思いきや、そうは問屋が…

トゥルー・ストーリーズ ポール・オースター

古本屋の店頭、歩道に突き出てワゴンがある。だいたい店舗の両脇にある。名前をギョーカイでは均一台という。文庫か新書ばかり、1冊100円均一だから。意外に売れると聞く。それでも売れないとも聞く。同じ均一台でも、破格看板を見つけた。・5冊で10…

グアンタナモの女 キューバの心

北海道、根室半島の先端は納沙布岬。日本のもっとも東。海の向こうは歯舞群島。群島の一つ、貝殻島まで3.7km。島というより岩礁。現在はロシア領。岬と岩礁の中間線が国境だ。6月1日に昆布漁が解禁。毎日、昆布をモグモグやってる身としては、捨て置けな…

FIFA汚職 アメリカ司法省

サッカーなでしこ、カナダW杯へ出発。もう、あれから4年経ったか。すこぶる困難な連覇に向けて、夢よもう一度。ドイツカップは、ドルトムントvsウォルフスブルク。香川のドルトムントが負けた。朝3時くらいにスタートした試合は、見応え充分だった。欧州CL…

すっぴん魂 室井滋

室井滋って字面は、たびたびお目にかかってた。むろいしげる。男のようでもあるが、女とも感じる。6月1日のテレビ「鶴瓶の家族に乾杯」に出演していた。高知県南国市。ここは尾長鶏で知られている。文字どおり尾っぽがロングロング。日本画によく描かれる…

スキマ植物の世界 塚谷裕一

都立園芸高校で、1年間バラ栽培の講習を受けた。僕以外は、バラ少なくとも園芸経験者だった。中には自宅の庭ばかりか、公園に出向いて積極的にボランティア活動をする人もいた。「外来種のセイヨウタンポポを刈るんです。日本在来種のタンポポを守るために…

EUフィルムデーズ フィルムセンター

三大映画祭は、カンヌとベルリンとベネチア。最高賞は、カンヌがパルム・ドール(金の棕櫚) ベルリンは金熊、ベネチアは金獅子。一等賞は、とにかくゴールドなのだ。今年のカンヌを振り返ると、社会派の受賞が目立ったらしい。スリランカ内戦と難民密航船「…

オルタナティブ・オリンピック 宇野常寛

東京文化資源会議のシンポジウムがあった。ほぼ台東・文京・千代田にまたがる地域を「東京文化資源区」にしようという試みだ。上野公園・本郷・湯島・神保町。回遊できるから、散歩が楽しいエリア。具体的には「東京ビエンナーレ」実現をめざす。もともと、…